なつブログ

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原作ファンから見た「実写ぐらんぶる」感想

お久しぶりです。なつです。

今回はタイトル通り、絶賛公開中の映画「ぐらんぶる」について原作ファン視点から語っていきます。

ガンガンネタバレしていくので嫌だという人はここでブラウザバック。

 

1.舞台改変

2.キャラ改変

3.ビジュアル面の問題

4.コメディ映画として

5.総括

といった順番にお話ししていきます。

 

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1.舞台改変

まず本編開始初っ端に驚かされましたが、実写版ぐらんぶるは原作の伊豆半島という設定から大きく逸脱した離島のキャンパスという設定です。これには特に文句がないです。むしろこの舞台設定がこの映画をまとめていると言ってもいい。

基本的にぐらんぶるはただの大学生の話なので、大きなメインストーリーはありません。日常系と同じように物語に「目的」がないんですよね。したがって2時間の映画にするとなると結構困ると思うし、実際私も公開前は「どこからどこまでの話をやるんだろう」「何を本筋にするんだろう」と不安でした。例え原作再現が上手くいったとしてもショートストーリーを数本詰め込んだだけの2時間の映像では一作品とは言えず空中分解してしまうからです。

そこで活きたのが離島という設定でした。物語最終盤に明かされますが、伊織と耕平がダイビングを始めた理由にはもちろん初めて知った海の世界への憧れもありますが、離島脱出という野望があったのです。まぁ、原作では二人を始めとする人物全員がダイビングを愛してましたし、そこに僅かでも打算が入るのはどうなんだとか、そもそも二人は速攻でPabに馴染んで辞めたいとか一度も考えてないとか、言いたいことがあるのはわかります。しかし、一本の映画としてまとめるために「目的」を与える改変としては中々の腕だと私は感心してしまいました。原作よりやけに仲の良い伊織と耕平も、この「目的」のための運命共同体という設定なら肯ける。極端に原作を冒涜する改変でもないため、私的には「巧さ」への関心が勝って、中々良い改変に思えました。

 

2.キャラ改変

こっちはね…少し不味かった。誰が不味かったかというと千紗と耕平。耕平の方は謎にドMを匂わせる描写が追加されたのが意味不明で「必要だったのか?」と思いました。

 

が、もっと酷いのは千紗。設定改変だけでなく、今作通して全体的に扱いが一番悪かったのは間違いなく千紗でしょう。

千紗はクールで無愛想、バカには辛辣だけど、ダイビングのこととなると子供のように目を輝かせ、誰かが自分と同じように海を愛してくれていると喜ぶ、そんな子です。しかし実写だとそもそもクールで無愛想という感じが一切なかった。役者が役者なので察してはいましたが、割と常にニコニコしていて印象が違いすぎる。笑う時もフッと柔らかく微笑むとかじゃなく、あざとく満面の笑みなので違和感しかない。他にも勝手に男避けに使った後の講義室での伊織に対するセリフや手振り(確か投げキッスみたいなの)もあざとすぎて、やりすぎだと感じました。

その結果どうなったかというと、キレてるシーンとの乖離が際立ってしまったんですよね。喜怒哀楽が地続きにないというか、まさに「別人」になるわけだから魅力もクソもない。

更に酷い改変がミスコン。原作では緊張してしまった千紗からあの手この手で表情を引き出そうと(最低のベクトルで)尽力した結果、伊織は千紗の怒りを買い、金属バットを持った千紗に追いかけられた挙句、男避けの彼氏役に任命されるわけです。

しかし実写では伊織がうっかり千紗に酒を飲ませたせいでステージで酩酊。千紗は暴言を吐き散らし、バットを持って誰彼構わず殴り飛ばしつつ、何故か伊織へと怒りの矛先を向けます。

 

あのシーンは本当に意味不明でした。まず改変した理由が不明。千紗は酔っ払っても暴言を吐いたり、人を殴ったりするようなキャラじゃないし、そこの改悪も意味不明。さらに映画単体として見ても、あそこで千紗が伊織にキレてる理由も不明。全てにおいて意味がない改悪なんですよね。

 

で、致命的なのが「別に面白くない」シーンになってること。

 

あそこはケバ子(愛菜)に対して「な?笑えるだろ?」って伊織が笑顔を浮かべるシーンで痛快になるのが良いんですよ。その後に愛菜が伊織に惚れる描写があって(確か実写だとカットされてた)、伊織を見て少し腹立たしげな千紗(嫉妬とかではなく、伊織たちのためにミスコン出たのに伊織たちは別の子のために男コンを荒らしたため)とそれを見守る梓さんがいて…って感じで上手く纏まってるんですよ。

工藤会長に「もう十分笑ったんで、帰っていいですよ?」って言うところ含めてめちゃくちゃ痛快で、原作、アニメでも屈指の好きなシーンです。

それがかっこよく(ゲス)二人が締めたところで酔った千紗が乱入して余韻をぶち壊すってさぁ…この作品の良さわかってる?って言いたくもなりますよね。

 

このように千紗の扱いは作品通して割と最悪に近い出来です。

 

3.ビジュアル問題

これは公開前から思ってました。別にファンタジーものでもなし、特に奇抜すぎる格好のキャラもいないんだしコスプレ感も出ない。むしろ多少寄せる努力しなきゃ誰か分からない作品なのに誰一人寄せる気がない!

まず耕平。言うまでもなく金髪じゃない。ポスター初見で犬飼くんの髪型と髪色で普通に伊織だと思いました。ここはせめて寄せようよ。でも画面に映る時間長いし、似てる人物いないし自然と耕平だと認知はできるのでまだセーフ。

 

問題は女性陣。PVから思ってたが、映画本編見ても、てか見終わってもしばらくしたら誰が誰かわからん!特徴がなさすぎる!

もうちょいやりようあったろ。千紗にバンダナとかつけるなら、尚更同じ短髪の愛菜は普通に黒髪短髪ストレートで良かったし、梓さんは毛先にパーマでも当てときゃいい。で、ロングは奈々華さんだけになるしわかりやすい。これでいいじゃん。

でも実際には愛菜は黒髪ロングだったり、特に奈々華さんと梓さんが画面に映る時間が短いのもあって、たまにどっちかわからなくなったりと、寄せないにも程がありました。

 

4.コメディ映画として

悪くなかったです。序盤のループは「いるか?」とは思ったが窓の外で跳ねてる全裸二人とかでちゃんと笑えたし。

でも個人的に微妙なのはゴリ押しというかオリジナル要素で導入されたダンスが寒いというか滑ってること。テンポがいちいち悪いんですよね、あれ。

ぐらんぶるの面白さはマシンガンのように交わされるクズみたいな会話と独特のワードセンス、パッと見意味わからない状況を段々と受け入れてる現状をもう一度客観視することによる笑いとかだと思うんですよ。その良さが一つも出てなかったなとは感じました。

他にも睨めっこで耕平が「俺、昔はオタクだったんだ」と言うところ。元からそこまで面白くはないけど、あれも本人的には大真面目に言うから面白いところを犬飼くんがサラッと言うだけだし、そもそもオタクTシャツ着たまんま言うから面白いシーンだし…って感じでちょいちょい

 

「原作で何故面白かったのか理解してないけど入れました」

 

ってシーンが目立ってた印象。

ただ顔芸などコメディシーンの端々に竜星涼と犬飼貴丈の役者としての高いポテンシャルを感じましたね。あの二人は所謂アニメチックなハイテンポな会話や、心理描写のアフレコなどにくどさが出ない。ちょっと「臭い」演技になりそうなシーンでも独特の空気感で上手く演じているのは流石だなぁと感じました。

犬飼くんは「仮面ライダービルド」の頃からその辺の演技光ってましたしね。

二人の演技もあってか、原作とは別人だけど実写の伊織と耕平にも多少愛着が湧いてしまい、そのおかげで作品全体の印象が底上げされてます。

 

5.総括して

個人的には嫌いじゃない作品です。見終わってしばらくした今では、もう一度見て再確認してみようかなという気もしてますし、少なくとも二度と見たくない作品ではありません。

改変は多くありますが、千紗周りを除くその殆どが改変だからと言って悪印象を与えるものではないし、全体的になんとか上手くまとめた、まとめようとしていたと言う印象があります。

まだ見ていない原作ファンも一度劇場に足を運ぶだけの価値はあるかな、と感じました。

 

以上、「ぐらんぶる」の感想でした。それでは!

 

 

 

 

 

 

 

 

 PS.版権の問題か、エヴァパイロットスーツを模したダイビングスーツの代わりに出てきたのがダリフラだったのクッソ笑いました

 

私のダリフラ評は1.4.6話など序盤の関係性を固める回は好き

その後の本筋がクソ、何回6話の焼き直ししてんだお前ら

世界観設定明かしてやることなくなったから唐突に宇宙に行くな

転生エンドはゴミ

 

これに尽きます

 

以上!

 

【2022年追記】

頑張ってフォローしてるけどやっぱりつまんねぇわ