なつブログ

野球、アニメ、ゲームなど様々なことを思いつくまま書きます。不定期更新。

今更オススメする「新すばらしきこのせかい」

 おはようございます。移動時間長くて暇なので既に本日2本目の記事です。年5本上がればいいペースなのに、ここに来て急に投稿頻度が上がったのは仕様です。

 

 ということで、今回の記事内容はタイトルの通り「マジで今更」オススメする「新すばらしきこのせかい」です。

 

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 新すばらしきこのせかいスクエニ開発、DSで発売された「すばらしきこのせかい」の続編タイトルとなります。続編ですが主人公は変わっており、前作キャラたちは基本的に彼らをサポートする先輩のような立ち位置となっています(とは言え出番は多い)。世界観も共通しており、十全に楽しむためには前作の知識は必須と言えます。

 そんなこのゲームが発売したのが2021年7月末。もう1年近く前です。だから「今更」なんですが。現在はPS4、Switch、PC等大体のフォーマットでプレイできます。

 一応このシリーズの概略を説明しておくと、現実世界とは異なるアンダーワールドで日々万能の願いをかけた死神主催の死神ゲームが行われているという設定です。その中でペアであったり、チームを組んで、若者たちが変わっていきます。大体こんな感じ。

 

 それでは順を追って、このゲームのすばらしい点を上げていきましょう。まぁ、私のTwitterをフォローしている人は既に何度も見たことと思いますが、そこはご愛嬌。

 

1.独特かつ目を引くキャラデザイン

 まずはビジュアルから。主人公たちはかなり個性的な服装をしており、キャラデザのタッチも独特です。それは上に貼ってある画像を見て貰えば一目瞭然。

 前作「すばらしきこのせかい」から共通してこのゲームの舞台となる「シブヤ」は、現実の渋谷と同じ街並みであり、様々な人の暮らしや考えが入り混じる雑多な場所として描かれています。その影響で登場人物はみんなそれぞれに個性がある格好をしています。前作同様に作中で訪れることができる多くのショップの店員たちもストリートからゴスロリまで様々なスタイルの人がいたり、主要キャラはそれぞれに好きなブランドがあったりとかビジュアル面へのこだわりはかなり強いです。

 このビジュアルが他にないこのゲームの魅力の一つというのは間違い無いでしょう。

 

2.舞台となる「シブヤ」の完成度

 先述の通りこのゲームは渋谷をモデルとした、というより現実の渋谷そのものの土地の位置関係や、ショップの配置になっています。例えばハチ公前、タワレコ道玄坂等のランドマークがあります。

 そしてこのシブヤを7日間×3週間の間あっちへ行ったり、こっちへ行ったりと往復することになるのですが、その間にすっかり土地同士の位置関係を覚えてしまうんですよね。そしてこの行き来が現実の渋谷に全く馴染みのない僕にさえ、この街への愛着を抱かせました。

 かつて「ゼルダの伝説スカイウォードソード」の開発時に製作陣の一人が同じ場所を何度も行き来させる仕様について「愛着を持ってもらうため」としていましたが、あちらのそれは手間にしかなっておらず、変わり映えのしない空を行き来するだけの不自由でしかありませんでした。

 しかしこの新すばせかのシブヤは現実をモデルとしながらも、写実的な描写ではなく色使いや「道の両側からアーチ状に迫り出すビル」のような現実の私たちの視覚ではなくイメージに寄せている独特の立体的描写などでとことんまで街のデザインにこだわっているんですよね。だから見ていて楽しいし、「歩いていて」楽しいんです。そして地図を見ずとも目的地への行き方がわかるようになった時に、自分もまたシブヤの一部になったような妙な嬉しさがあります。

 後述の理由で必ず一定期間ごとに店に立ち寄って食事を摂取しなければならず、それもあって更に街への理解度や愛着は深まっていきます。

 また、そこで暮らす人々への思い入れも一つシブヤへの愛着を湧かせます。

 今作には人間関係が網目状につながったキャラクターボードがあり、特定の条件を満たすことでアビリティやアイテムを習得できる他、シブヤで出会う人々の性格や趣味などを知ることができます。

 

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 そして一人の条件をクリアすることで、隣接する(その人物と関わりが深い)人物の条件も解放できるようになります。

 これにより何気なく出会ったショップ店員同士の人間関係や意外な繋がりが時にはサブクエストを介さず展開されます。これが想像以上に気になって、シブヤで様々なショップに通ってアイテムを買い占めたりしてしまうんですよね。先述のビジュアルの良さもあって、ビジュアルで気になったキャラのプロフィールを開放してみたら意外なことに……なんてこともよくあります。

 そこで暮らす人々の何気ない生活の営みを垣間見ることができる上、義務感のあるサブクエやお使いばかりというわけでもない(と言うかほとんどサブクエをこなさなくてもクリアはできる)ので、非常に良いバランスになっていると思います。一部は食事をしているだけで果たせる条件ですしね。

 

3.簡単かつ爽快なアクション

 アクションRPGなので次はアクション部分から。このゲームは基本的にキャラ一人につき一つのボタンが割り当てられており、全員を同時操作することになります。例えば△ボタンは同じスクエニ開発のKHの「たたかう」コマンドのように連打することで相手を斬りつける攻撃、□は連打で弾丸を放ち続ける、R1は長押しでロックオンの後鎖を放つというような形で装備したバッジに応じて攻撃が変化します。

 どのキャラにどのボタン(攻撃方法)を割り振るかは自由。もちろん体力などそれぞれに個性はあるので向き不向きはありますが、良くも悪くも単純なシステムになっています。ガチャガチャするだけでなく、コンボ数を稼ぐことも大事になってくるので、上手くコンボを繋げられた時の爽快感も魅力的。

 またステータス変動についてはレベルアップで変化するのは体力だけとなっており、攻撃力などは食事をすることで上昇します。満腹度が用意されており、それに合わせて食事を取るのですが、店や料理ごとに上昇するステータスに違いがあります。また各キャラごとに料理に対して好物、普通、嫌いのようなリアクションの差異があり、それは選択時の画面でわかります。食事後のセリフもかなり変化します。

 

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↑この場合、全員好物

 そして、好物だとボーナスが入ってステータスの上昇量が上がるという仕様です。

 かなり独特ですが、普通にプレイしていてもすぐに仕様を理解できるようになっているので、この点も簡単で良かったですね。

 

4.素晴らしいキャラクターとシナリオ

 満を持して本題のキャラクター。主人公のリンドウ、相棒のフレットをはじめキャラクターの一部は現代人気質で、それ故の悩みを抱えています。

 例えばリンドウは自分の価値観に自信が持てない人間で、最初は流されるまま、判断を他人に委ねる場面が目立ちます。対してフレットはふざけて誤魔化す癖がついていて、他人に自分の本音を晒すことに臆病です。

 それらの等身大の悩みをデスゲーム(今作のゲームは死神ゲームと呼ばれているのでそういう意味でも「デスゲーム」)的なゲーム背景の中に落とし込むのが非常に上手かったです。

 そして思い悩む彼らを導くように前作から引き続き登場するキャラクターたちが力を発揮したり、新キャラであり3人目のパーティーメンバーであるオタクのナギが潤滑剤として活躍したりと、彼らの関わり合いも非常に魅力的になっています。特に前作で精神的に幼かったキャラたちが同じ死神ゲームを経て成長した姿を見せてくれたことはかなり嬉しかったです。

 また前作同様20時間くらいでクリアできるボリュームなので、非常にとっつきやすいのも○。

 

5.前作とメッセージ性の対比

 ここからはストーリー本編のネタバレになってくるので、気にする方は適当に飛ばしてください。

 

 

 

 

 まず今作の主人公リンドウはある程度前作主人公のネクと対比される存在として描かれています。

 ネクは雑多なシブヤの街やそこに暮らす人たち、そこに溢れる言葉や考えが嫌いで、ヘッドフォンで外界を拒絶していました。座右の銘は尊敬するアーティストCATの「今を思いっきり楽しめ」。その為に彼は他者など我関せず、自分の世界で生きていました。

 そんな彼は物語の最初はペアを組んだヒロインのシキにも無関心で、彼女を振り回し続け、同年代の少年ビイトにも辛辣な態度で彼の神経を逆撫でしてばかり。しかし多くの人と関わり、CATの正体でもある頼りになる喫茶店の主人ハネコマの言葉を受けて、ネクは自分の世界を広げていくことを学びます。そして物語の最後で彼は多くの考えに触れ、自分の世界を広げることこそが「今を思いっきり楽しむ」ことに繋がると気づきます。

 

 対してリンドウは最初から外界にはオープンです。しかし常に着けたそのマスクが(ネクのヘッドフォンのように)象徴しているかは不明ですが、ネクと対照的に彼は自分を出せない人間です。

 自分の価値観に自信がなく、否定はできても肯定ができず、これが自分の考えだと、これが自分の好きなものだと強く言うことができない。いつも判断は他人任せで自分の意志で選択するということができない少年です。

 そんな彼にとってのCATこそが、人生相談もしているネットゲームの友人「スワロウさん」と、ネット上にポエムを投稿しており死神ゲームにも参加していたモトイの言葉。

 しかし物語の中でスワロウさんとは音信不通になり、彼(彼女)に頼れなくなったリンドウの他人任せな部分が浮き彫りになります。更にはモトイ本人の口から彼の言葉が全て借り物であり、彼が自分と同じで自分で選べない人間であると突きつけられてしまいます。スワロウさんには頼れず、モトイには幻滅し、心の支えを失ったリンドウはそこで初めて仲間たちに対して本音を打ち明けます。

 そして路頭に迷うショウカを仲間に誘うなど、徐々に自分で決断を下せるようになり名実ともにチームのリーダーへと成長していきます。

 他者の価値観に流されるのではなく、自分の価値観で、自分の意志で決断を下す人間に成長していく過程は正にネクの真逆。その辺りの対比も続編として非常に面白く、それらのストーリーを独特のイラストや音楽、魅力的な会話シーンで軽快に描ききっている点が傑作たる所以ですね。

 

6.問題点

 で、最後にこの作品の問題点についてですが……5で語ったように今作の面白さの一つに前作との対比があって、そもそも世界観説明や前作から登場するキャラの多さもあって、前作をプレイすることはほぼ必須なことなんですよね。

 そんで前作が新すばせか発売当時でさえ14年前のDSソフト。しかしそこはご安心。新すばせか発売の数年前にSwitchでリマスター版が出てるんですよ。少なくとも購入のハードルは下がっています。

 が、このSwitch版というのがまた難儀なやつでして、操作性の悪さがとんでもない。本来はDSのタッチパネルを用いたタッチペンによる直感的な操作だったんですが、Switchの液晶操作では微妙に反応が悪くて敵の速度に対応できない。

 じゃあSwitch版で追加されたボタン操作はどうかと言うと、基本となるスラッシュ攻撃に使うドラッグ操作などが非常に使いづらい。

 結果、戦闘パートがぐだりがちで、かなりストレスフル。シナリオは十二分なだけに、かなり惜しく、オススメできない出来となっています。

 とりあえず一番安定な選択肢は新すばせか発売前の春に放映された「すばらしきこのせかい The Animation」を見ることです。まぁ、これもRPG原作アニメの例に漏れず、仕方ない話ですが「自分で体験するが故のキャラへの思い入れ」が欠けており、戦闘部分がどうしてもあっさりしていたり、淡々と進んで見えるがためにメッセージ性の部分が少々見えづらかったりという難点はあります。ですが、大まかに知りたければこの一本で良いでしょう。アマプラにはあるらしいので、益々これが無難かなと。

 

 とにかくこの前作履修の難易度くらいしか問題点が浮かばないくらいには大傑作です。

 

 Switchの方では割としょっちゅうセールをやっているし、プレイ時間や難易度もお手軽。どうやら記事執筆時の今もセールをやっているらしいのでこの機会に是非どうでしょうか。

 

 それでは今回はここまで。ありがとうございました。