なつブログ

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エモさだけでは名作になれない KINGDOM HEARTS Ⅲ (キングダムハーツ3)

こんにちは、なつです。

今回は今更ながらKINGDOM HEARTS(以下「KH」)シリーズ第何作目かは忘れましたが、KHⅢ(以下「3」)について語っていこうと思います。

 

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先に断っておきますが、タイトルの通り基本的には低評価のレビューになりますので、聞きたくないよという方はブラウザバック。

あと昨年12月以降プレイしていないので正直記憶が怪しいところがあります。真面目なレビューならそこはしっかり正さなければなりませんが、今回はちょっとした文句なので勘弁を。

では、始めます。

 

散々な発売延期を経て2019年に満を辞して発売されたこの一本。私はPS4を持っていなかったので、お金を貯めて発売から半年以上たった昨年12月上旬にPS4とKH3を買いました。そう、KHをプレイしたいがためにわざわざPS4を買ったのです。

まずは、それほどまでにKHシリーズに愛着を持っている私のKH歴をざっくり語ります。

 

私のKH歴は少々変わっています。忘れもしない2005年12月22日。クリスマス商戦真っ只中に発売されたKH2。まさにその商戦に乗せられてサンタさんは我が家に、私の兄にKH2を届けました。しかしサンタさんはゲームに詳しくないので知りませんでした。その作品が2で、しかも実のところ「3作目」であるということを。

そんな事とは露知らず、兄と私はそのゲームを楽しみました。しかし当時小学生の我々はノーマルモードのデミックス戦で挫折。その後しばらくプレイしていなかったのですが、高学年になったときに初めてKHがわかる友達に会い、俄然やる気が出てきました。そして2をクリアし、人生初のレベリング作業もこなし、友人から1とRe:comを借りてプレイし…と言った風にのめり込みました。

その後も数年に一度は2を最初からプレイするなど「KH2」は私の人生における大事なゲームの一本となりました。

まぁ、私アクションゲームガチ勢じゃないので、FMは基本買わない(というか当時は親元にいたのでそんなにゲームなんて買ってもらえない)し、リミカとかはやらないんですけど。

 

とにかくこんな感じでKHの主にBGM、キャラクター、ストーリーが好きになったわけです。

 

ここからが漸く本題。

KH3の何がダメだったか。

 

言うまでもなく、散々待たせたくせにストーリーのボリュームが1と2どころか3Dにすら劣ってるんじゃないかとか色々ある。

 

まず一つ目。冒険の動機が下手。

前作3Dのクライマックスで闇に堕ちたことで、いつもの如く力を失ったソラ。ここでかつて力を失い、そして取り戻したヘラクレスに会いに行くってのはいいんですよ。過去に登場したステージとの絡め方が上手い。

しかし問題はそれ以降。各ワールドに降り立つ理由が薄い。マジで今現在オリンポス以外で思い出せる理由がない。なんか見つけたワールドになんとなく行ってる、くらいの感覚しかない。1では王様とリク、カイリを探すため、2では王様とリクの捜索に加えて世界の鍵穴を閉じるため、3Dでは眠ったままの世界を目覚めさせるため、といった風に明確に理由がある。しかし3の場合、確かにハートレス、ノーバディ、アンヴァースなど危険な存在が出現してはいるが、他に大きなインパクトのある理由や目的がないのだ。

「なんとなく」に見える状況に拍車をかけているのが真XIII機関の行動。彼らは序盤早々に「もう13人揃っている」とソラに告げる。

 

「え、じゃあ今何してんの?」

 

というと、一部のXIII機関(と言うより元忘却の二人組)はもしもにそなえて、光のキーブレード使い7人のバックアップとして「ニューセブンハート」なる新しいセブンプリンセスを探しているというのである。

しかしこの「ニューセブンハート」、早々に死に設定となった。まず7人が判明しないし、別にバックアップが必要になる事態はなかった。

 

実際、3序盤の真XIII機関のタスクといえばソラ(とヴェン)の再覚醒を待つことくらいなものなのである。3Dラストから3の間に下準備は完了していると言っていい。だからこそ、重大な決戦を前にお互いダラダラしているように見えるというか、なんかメリハリがないのだ。

 

更にマレフィセントとピートの行動もまずい。後述のもう一つの問題にも関わってくるが、今作の彼らの目的はキーブレード戦争以前の謎と縁深い「黒い箱」を探すこと。で、行く先々で箱っぽいものを探している(これは真XIII機関のルクソードも同じ)のだが、今作で「黒い箱」は本当のラストシーンまで登場しない。ほとんど触れられない。恐らくダークシーカー編に続く新章の肝となるのだろうが、そんなことはどうでもいい。

要はマレフィセントは今作においてソラたちにほとんど関わらず、露骨に次章に向けた行動しかしておらず、今作単体で見ればいてもいなくても変わらないのである。

メタ的な事情で絶対にディズニーワールドにないキーアイテムを探して、それを最終的に目撃する、手に入れるならまだしも、結局本編で存在がロクに触れられないから、ルクソードやマレフィセントが間抜けに見える。

同様に行動自体に意味はあるが、結果としては特に関係ないというマールーシャとラクシーヌもどこか間抜けだ。

 

そしてソラたちはなんだかんだと、過去作に比べて広さはともかく数もボリュームも微妙な気がするディズニーワールドを駆け足気味に探検する。

 

で、このディズニーワールド内の話にも少々無視できない問題がある。

ちょいちょい映画を見ていないと理解できない描写があるのだ。本編完結語を描いているトイ・ストーリーベイマックスやモンスター・ズ・インクなどはともかく、一番気になったのは本編をKHと絡めて改変しているラプンツェルだ。

原作映画でフリンがラプンツェルにのみ本名を明かすシーンをカットし、終盤で唐突に「ユージーン」呼びしだしたラプンツェルにソラたちが「ユージーン?」と疑問符を浮かべるシーン。ここはまだわかる。経緯はわかるし、原作映画と合わせて見てねというスタンスなのだろう。

だが問題はそこではない。映画のようにソラたちと同時に悪役のゴーテルサイドや場合によっては別行動の人物の描写も混ぜた結果、話のテンポが悪い上に、ぶつ切りなので所々話が繋がってないように見えたり、すぐに理解できないようなことになっている。

パイレーツ・オブ・カリビアンの方も、原作映画と同時期の話だが、こちらは逆にソラたちはほぼ無関係で最終盤以外は知らないところで勝手に映画の話が進行している。こちらに関してはテンポの悪さはないが、あまりにも本物のジャックやウィル、エリザベスの描写がないためクライマックスが全く盛り上がらない。

 

このように間違いなく過去一番、ディズニーワールドの話が盛り上がらない。

まだまだ文句はある。ボスがあまりにもポッと出なのである。確かに2の各ワールド2周目のボスも同様にXIII機関の使役するただの巨大ハートレスだが、一応そこまでのオリジナルストーリーに関わりのある登場の仕方をする。(ランド・オブ・ドラゴンなら龍脈からの出現、プライド・ランドならスカーの幻影からの出現、ポート・ロイヤルなら呪いの金貨を絡めた特殊バトルなど)

しかし特に酷いと記憶しているのが「アナ雪」でお馴染みのアレンデールのボスである。なんか犬っぽいのがハンスを覆う闇から唐突に現れるのである。物語のクライマックス、本来なら氷漬けになったアナが最後の力でハンスからエルサを庇うシーンで。

 

「そこで入れるの?」

というセンスのなさとあまりの唐突さに困惑すること間違いなしのボス登場シーンで、恐らくは歴代最低のボスバトルの入りだろう。

 

さて、他にもまだある。

例えばステージ。広いのはいいし、コロナ王国の沼のほとりにある、王冠を求める悪党が出てきた秘密の抜け道など、劇中の様々な場所が再現されていて素晴らしい。

しかし中世ヨーロッパっぽいステージを回ることができるのかと思えば、城下は非常に淡白だし、アレンデールはただの雪山だけである。モンスター・ズ・インク社は悪くないが、劇中に登場しないバックヤードばかりで、エントランス以外でもう少し再現するところがあっただろうと思う。

オリンポス、サンフランソウキョウとトイボックスは個人的には高評価。オリンポスはクリア後に行っていないが壊れてない古代建築っぽい街を歩けたら素晴らしい。サンフランソウキョウは原作映画が魅力的すぎて見劣りするが、ゲームの容量的に仕方ないし及第点だ。

 

 

そして最後の文句、満を辞してストーリーです。

まぁね。テラ、アクア、ヴェン、ロクサス、シオンなど過去作で実質的な消滅や行方不明になった人物が全員揃ったのは「エモい」し良かったと思うんだ。けど、タイトル通りそれだけでは名作になり得ないと証明したのが今作。

あまりにも唐突なシオンの登場など補完すべき要素が多すぎるし、そんなのは後続作品じゃなく本編内で完結させる義務のある話。

 

ここまでは散々言われているので、もう言わないが、ここからは散々言われてるけどもっと言ってやる。

 

それはχの存在が邪魔ということ。

正確にはχのキーブレード戦争以前の話を本筋に絡めようとした結果、全てが迷走し出したということである。

前々から散々言われているが、KHは外伝が多い。と言うよりもナンバリング以外もほとんどメインストーリーで、プレイしなくても大して支障がないのはcordedくらいだ。しかし358は多少の後付けはあれど基本的に1終盤〜2の間を描いているので本筋と絡めても、そう大きく話はぶれない。3Dはソラとリクが主人公のメインストーリーなので問題なく、BBSはシリーズ通してのボスである「ゼアノート」に迫る話で、これぞ外伝と言った話だが、本筋に絡めることに苦はないだろう。

 

問題はχである。χは明らかに本編と毛色が違うと言うか、世界観からして違う話である。本編とはかけ離れた古の時代の話だ。それを外伝としてシリーズ化するならまだしも、本筋に絡めるから全てがぐちゃぐちゃになった。

基本的にマスター・ゼアノートという悪役がいて、闇に傾倒する彼に対し世界を作り直すという彼の野望に立ち向かうというのがシリーズの大筋である。

だが、そこにキーブレード戦争以前の世界の在り方だの、預言だの、黒い箱だのと不必要にノイズとなる情報が溢れることで、話にまとまりが失われているのが現状だ。

今作が理由は不明ながら駆け足気味なのも手伝って、せっかく因縁の宿敵を倒したのに大団円感がない。

前々から「ダークシーカー編は3で終わり」とスタッフ(野村あたり)が公言していたが、この体たらくを見る前から「KH自体を3で畳むべき」と私は思っている。何なら2FMで取ってつけたBBSの伏線などを除けば割と1〜2の三部作で綺麗に纏まっている。

とにかく厨二病が大好きそうな謎めいた人物を大量に配置して、意味深長な発言ばかりさせて、謎をやたらと増やす方式はもうやめてほしい。広げた風呂敷を畳むことが一番大事だ、ということを今一度再確認して欲しい作品だった。

 

 

PS.アクション面に触れると、スタイリッシュじゃない上にステージとの関連もディズニー要素もないライド攻撃は要らないと思う